痴漢でワシも考えた

一連の痴漢関係のエントリ&コメントの中に、どうしても納得できないところがあったので、自分でも書いてみます。
思い込みと予断に満ちたものですが、そういう考え方もありかとうい程度に参考にしていただければ幸いです。

男女を完全に分離すべし/してほしい
という主張をちらほら見かけたのですが、
(例 http://d.hatena.ne.jp/p_wiz/20090420/p3)
これってあまりに考えなしではありませんか?
問題点は以下の3つです。詳細は後述します。
1.男女の性別は自明ではない
2.性的志向性自認は一対一対応はしない
3.「完全に」分離するのは技術的に難しい

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1.男女の性別は自明ではない

No.2ボン・クレーはどうすんだとか、そういう話です。
異性装はしないけれど、性自認はねじれている場合もあります。
スカートをはいてるけど、自分は男だと思っている戸籍上は女とか。
外形と内蔵の特徴と遺伝上の性別が一致しないいわゆる半陰陽も、
一定割合で生まれるそうです。

http://www14.ocn.ne.jp/~pesfis/index2.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E9%99%B0%E9%99%BD

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2.性的志向性自認は一対一対応はしない

性的欲望を感じる相手は男なら女、女なら男とは限りません。
「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシャル」にとっては、
男女で車両を分けても本質的な差はないのではないかと思うのです。
特に、あくまでも小生の印象ですが、
成人男性による男子に対する性的虐待・わいせつ事犯というのは少なくないように思います。

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1と2が組み合わさって、
男になって男を性の対象にしたい戸籍上は女
なんていう複雑なケースだって生まれ得ます。
どう対応するのでしょう?
クィア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A3%E3%82%A2
http://queerjp.org/index.html

の専用車両を作りますか?
それは新たな差別ではないですか?

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3.「完全に」分離するのは技術的に難しい

今の女性専用車両の運営は、一部だけ・希望する人だけだからうまく行っている部分が大きいと思います。
痴漢にあうリスクがなくなるならば、他の不便や不快
(乗り換えが不便、他の乗客が化粧をしているのが不愉快、香水や整髪料の匂いで吐き気がする等)
をがまんする心構えがある人だけが利用するとか。
男(に見える人)が乗ってきても、個別に対応できる数に収まっているとか。
男に見える人は女性専用でない車両に乗ることで、自らそういうトラブルを回避することもできるとか。


全ての車両を男女別にしてそれを強制したら、上記のような逃げ道・選択肢が失われて、新たなトラブルが起こるでしょう。
乗り換えや昇降の利便性や車両の分配割合で、男女が互いを
「不当に得をしてる!」
と訴えるのも、容易に想像できます。
そういう不満がどっと鉄道会社に寄せられることもあるでしょう。

そして、1と2の問題がある以上、どこで線を引くか、どうやって確認するかは至難であり、どうしたって不満は残るのではないでしょうか。

鉄道会社にそこまでの負担を負わせるの無理だし、「社会全体で」とか「政治が」とか言うならば、企業と住宅両方の一極集中の解消に向かう方が建設的です。

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補足と言い訳

この記事を読んで、不快になる「クィア」の方がいらっしゃるかもしれません。
だとしたら、まずは不用意な表現であったことをお詫びします。
言い訳を許していただければ、ヘテロ異性愛者の一部が痴漢・痴女になる「事実」があるのならば、「クィア」の一部が同様のことをする可能性もあるのではないかと考えただけなのです。
「男はみんな痴漢よ!」がばかばかしいのと同等に、
クィアはみんな痴○だ!」もばかばかしいと思っています。
にわか勉強と想像だけでものを言ってしまったので、間違いや誤解は正していただければありがたいです。